Garu JP百人一首 / 秋の田
小倉百人一首 第一番

秋の田

天智天皇出典:『後撰集』秋中・302
秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ
わが衣手は 露にぬれつつ
秋の田 ジャケット

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歌のものがたり

Story

時代背景

天智天皇は大化の改新を成し遂げ、律令国家の礎を築いた古代最大の英雄のひとり。百人一首はこの帝の歌で始まる(そして2番は娘・持統天皇——親子リレーの開幕である)。収穫期の田の傍らに建てた仮小屋(かりほの庵)は、実りを鳥獣や盗人から夜通し見張るためのもの。粗く編んだ苫屋根は露を通し、番をする者の袖を濡らした。

作者の詩に込めた想い

帝が自ら田の番をしたはずはない——これは、いちばん高い場所にいる人が、いちばん低い庵で袖を濡らす名もなき民の夜を想った歌である(後世の仮託説もあるが、だからこそ「民を想う帝」の理想として巻頭に置かれた)。為政者の歌でありながら、視線は徹底して働く者の袖の露にある。

歌詞にこめたもの

現代の「かりほの庵」を深夜の警備室に置いた。誰かが眠る夜を守って袖を濡らす人は、千三百年後の今夜もどこかにいる。「いちばん高い場所にいた人が いちばん低い庵の露を歌った」(Bridge)はこの歌の構造そのものであり、「異常なし」と書ける幸せ・娘の似顔絵・「おはよう」の中の家路は、露に濡れる袖の現代語訳である。

歌詞

Lyrics

秋の田(天智天皇・百人一首1番)/ Garu JP

Verse 1

日付が変わる頃に 始まる仕事

タイムカード押して 制服に着替える

眠る街から 夜を預かって

モニターの灯りに 腰を下ろす

十二階のビルは 息をひそめて

非常口の緑が ぽつんと灯る

懐中電灯と 缶コーヒーひとつ

足音だけが 相棒の廊下

Pre-Chorus

昼間の誰かの 忘れ物みたいに

点きっぱなしの デスクの明かり

ひとつずつ消して 回るたびに思う

この街の眠りを 預かってるのは

名前も知られない 僕らなんだと

Chorus

秋の田の かりほの庵の

粗い屋根から こぼれる夜露

誰かのために 濡れる袖は

昔も今も 変わらないまま

夜のいちばん 深いところで

起きている人が きっといる

君が安心して 眠れる夜は

誰かが黙って 支えてる

今夜もどこかで 袖を濡らして

わが衣手は 露にぬれつつ

Verse 2

モニターの灯りで 飲む二杯目は

少しぬるめの コーンポタージュ

デスク脇の カレンダーに貼った

娘が描いた 下手くそな似顔絵

「パパのしごとは かっこいいんだよ」

参観日には 行けなかったけど

「おつかれさま」を 言う人はいない

それでも朝は 僕から始まる

Pre-Chorus 2

夜明け前の空が いちばん暗いと

知っているのは 起きてる者だけ

東の空に 群青がにじんで

世界がもうすぐ 目を覚ます

その一番前の 席に座ってる

Chorus 2

秋の田の かりほの庵の

苫のすきまに 星が流れる

誰も知らない 仕事の誇り

濡れた袖にも 乾く日が来る

交代の時間 引き継ぎのノート

「異常なし」と 書ける幸せ

君の今日が 何ごともなく

始まることが 僕の勲章

誇りのしるしが 袖で光る

わが衣手は 露にぬれつつ

Bridge

いちばん高い 場所にいた人が

いちばん低い 庵の露を歌った

玉座の上から 見えていたのは

名もなき誰かの 濡れた袖

Breakdown

秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ

わが衣手は 露にぬれつつ

Final Hook

夜が明ける 街が目を覚ます

僕の一日が 終わっていく

すれ違う人の 「おはよう」の中を

濡れた袖のまま 家路を歩く

今日も誰かの 夜を守れた

わが衣手は 露にぬれつつ

Outro

わが衣手は 露にぬれつつ……

わが衣手は 露にぬれつつ……

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