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小倉百人一首 第四十三番

逢ひ見ての

権中納言敦忠出典:『拾遺集』恋二・710
逢ひ見ての のちの心に くらぶれば
昔は物を 思はざりけり
逢ひ見ての ジャケット

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歌のものがたり

Story

時代背景

平安中期。権中納言敦忠は左大臣藤原時平の三男で、琵琶の名手と謳われた貴公子である。この歌は初めて結ばれた翌朝に相手へ贈る「後朝(きぬぎぬ)の歌」とされ、逢瀬の余韻の中で詠まれた。当時、後朝の歌は男が贈り、女は部屋で文を待つものだった。敦忠は38歳の若さで世を去り、その歌は百人一首に恋の名歌として残った。

詠み人の想い

「逢って結ばれたあとの今の心に比べれば、昔の想いなど、何も想っていなかったのと同じだ」——あれほど焦がれたはずの恋心が「無」に思えるほど、本物を知ったあとの恋は深い。恋の遠近法を一首に閉じ込めた歌である。

歌詞にこめたもの

視点を女性に移し、初めての夜の翌朝を「静かな高揚の朝帰り」として描いた。駅までの見送り、やっと言えた「またね」、始発の車内で手に残る温度、揺れる車内はときめきのメロディ——そして千年前に文を「待つだけだった」姫と、自分の足で朝を歩いて帰る現代の彼女の対比。「ただいま」を言うひとりの部屋に、恋の続きを連れて帰る。

歌詞

Lyrics
Verse 1

初めて過ごした君との朝

「送ってくよ」と 跳ね起きた君

「駅までいいよ」と 笑ってみせた

どちらからともなく つないだ指で

夜明けの道を ゆっくり歩く

発車のベルが 急かすホームで

言いたいことば 迷子のまま

「またね」ひとつが やっとの声で

おたがいまだ 続きがある目で

Pre-Chorus

言えなかったことば 胸にあずけて

昨日まで知ってた 「好き」の意味が

今朝はもう 別の色してる

Chorus 1

逢い見ての のちの心に

くらぶれば 恋を知る前の

わたしはなにも 想っていなかった

きらきら光る 朝焼けさえも

ぜんぶ君の せいにしたい

Verse 2

がらんとした 始発の車両

窓に映った にやけたわたし

手のひらにまだ 君の温度が

つないだかたちの まま残ってる

Pre-Chorus 2

「またね」のつづき 送りたくて

何度も書いては 消してしまう

Chorus 2

逢い見ての のちの心は

戻れない 戻りたくもない

知らないころの わたしのままじゃ

見えなかった 朝がここにある

揺れる車内は ときめきのメロディ

Breakdown

逢い見ての のちの心に くらぶれば

昔はものを 思わざりけり

Verse 3

千年前の 恋する人は

夜明けの部屋で 文を待ってた

「逢い見ての」と 書かれた恋を

胸に抱いて 朝を生きた

Pre-Chorus

待つだけだった 朝の光を

いまのわたしは 歩いて帰る

Chorus 3

逢い見ての のちの心は

昔もいまも 同じ熱のまま

恋を知るたび 世界が変わる

あの姫君も この朝焼けを

きっと窓から 見上げてた

Bridge

はしゃぎたいのに すこし怖いのは

これが本物だと 知ってるから

だけど今日は 疑わないで

この気持ちだけ 連れて帰る

Final Chorus

逢い見ての のちの心で

「ただいま」を言う ひとりの部屋で

スキップみたいな 心拍のまま

君と見つけた 世界の色を

ぜんぶ集めて 歌にしたい

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