Garu JP古典歌謡 / 陽炎

陽炎

出典:柿本人麻呂(『万葉集』巻一・48)
東の 野にかぎろひの 立つ見えて
かへり見すれば 月かたぶきぬ
陽炎 ジャケット

ミュージックビデオ

Music Video

歌のものがたり

Story

時代背景

飛鳥時代の末期。軽皇子(のちの文武天皇)が、亡き父・草壁皇子ゆかりの狩場・阿騎野に泊まった折、随行した宮廷歌人・柿本人麻呂が詠んだ歌群のうちの一首です。

作者の詩に込めた想い

東に昇る夜明けの光(かぎろひ)は若き御子のこれからの御世、西に傾く月は世を去った父君——雄大な天体の対比に、亡き主君への追慕と、新しい時代への継承の祈りを重ねました。

歌詞にこめたもの

昇る日は御子の御世、傾く月は亡き父。歌詞はこの象徴を物語に膨らませました。かつて篝火を囲んで笑い合った主君はもういない。その遺児の横顔に面影を見つめ、涙を草の露に紛れさせる——「千年の後も君を想う」、時を超えた追慕と継承の物語です。

歌詞

Lyrics

あの日この野で 君は弓を引いた

若き日の主 愛しき君よ

篝火を囲み 笑い合ったあの夜

もう還らぬと 知りながら来た

寒き夜を明かし 御子の傍らに

父に瓜二つの 横顔を見る

私の涙 草の露に紛れさせて

東の空を 仰いでいる

東の野に かぎろひの立つ

振り返れば 月かたぶきぬ

昇る光は 御子の御世

かたぶく月は あなたの面影

私は ここに立ち尽くす

あなたが居た場所に 今日も僕は立つ

受け継いだ言葉 胸に抱きしめて

夜を越えた者だけ 知る光がある

失って初めて 見える景色

君の面影は 月に似て静か

僕の行く先を 照らしてくれる

振り返ることは 弱さじゃないと

今ようやく 分かりはじめた

東の空に かぎろひの立つ

かへり見すれば 月かたぶく

昇る日を浴びて 歩き出す

かたぶく月に 君を見ている

喪って なお生きてゆく

東の野に かぎろひの立つ見えて

かへり見すれば 月かたぶきぬ

亡き君よ 御子は今 弓を構える

あなたの血を継ぐ その若き手で

東に 日は昇り

西に 月はかたぶく

過ぎし日よ さらば

されど私 忘れじ

東の 野に立ちて

千年の後も 君を想う

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