▶平安初期、貴族文化が花開いた時代。在原業平は六歌仙のひとりに数えられる美男の歌人で、『伊勢物語』の主人公のモデルともいわれます。竜田川を埋め尽くす紅葉の絶景を詠んだ、日本の紅葉の歌の最高峰とされる一首です。
「神々が活躍した遥かな神代でさえ聞いたことがない。竜田川が紅葉で唐紅に水をくくり染めにするなんて」——目の前の絶景を讃えるのに神話の時代まで持ち出す、大胆な誇張。自然の美を驚きのまま切り取った、王朝和歌の華やかさの極みです。
「神代も聞かず=神々さえ知らない絶景」という感動を、現代の日常でふと出会う「息を呑む瞬間」に置き換えました。忙しさの中で通り過ぎていた景色に立ち止まったその瞬間、世界はこんなにも鮮やかだった——言葉が追いつかない美しさへの純粋な感動と、移ろう一瞬を永遠に残したい想いを歌っています。
川面を流れる 無数のもみじ
一片ずつが 燃えるような赤で
水を染めてゆく ゆっくりと
息をするのも 忘れていた
神々が見ていた 遥かな時代も
こんな景色を 知らなかったはず
今 目の前で 奇跡が起きている
ちはやぶる 神代も聞かず
からくれなゐいに 水を染め上げて
竜田川は今 誰のものでもない
ただ美しい ただそれだけで
言葉なんて 追いつかないよ
こんなにも世界は 鮮やかだった
ふと立ち止まる その瞬間に
世界はこんなにも 彩られてた
気づかないまま 通り過ぎてた
たくさんの赤を たくさんの今を
神々が見ていた 遥かな時代も
こんな景色を 知らなかったはず
今 この瞬間が 永久になる
ちはやぶる 神代も聞かず
からくれなゐいに 水を染め上げて
竜田川は今 誰のものでもない
ただ美しい ただそれだけで
言葉なんて 追いつかないよ
こんなにも世界は 鮮やかだった
ちはやぶる
神代も聞かず 竜田川
からくれなゐいに 水くくるとは
ちはやぶる 神代も聞かず
からくれなゐに 水を染め上げて
この景色を 誰かに伝えたい
ただ美しい ただそれだけを
言葉にすれば こぼれてしまう
それでも残したい この赤を
こんなにも世界は 鮮やかだから