▶月を見ていると、あれこれと際限なく物事が悲しく思われる。秋は私ひとりのためにやって来たわけではないのだけれど。
決まり字:つき月見れば(古今集/大江千里・百人一首23番)Garu JP
ベランダの手すりに もたれて見てた
今夜の月は やけに近い
悪いことなんて 何もなかった
それなのに 胸が重い
ひとつじゃない 悲しみの理由
数えるほどに 月が滲む
月見れば ちぢにものこそ
悲しけれ 今夜もまた
わかってる この月はみんなの月
秋は誰の上にも 降るものだと
それでも今夜は 私ひとりの秋
スマホの中では みんな笑ってる
同じ夜を 生きてるのに
カーテン閉じても 月の明かりは
隙間から 忍び込んでくる
悲しみに理由が いるのなら
月のせいに してもいいかな
月見れば ちぢにものこそ
悲しけれ わが身ひとつ
知ってるよ 世界は回ってる
私が泣いても 朝は来ると
だけど今夜は 私ひとりの秋
千年前 異国の詩を
訳した人も 月を見てた
「秋はひとりのために 長くなる」
その一行に 自分を見てた
月見れば ちぢにものこそ悲しけれ
わが身ひとつの 秋にはあらねど
月見れば ちぢにものこそ
悲しけれ それでいい
みんなの空に 同じ月が出て
それぞれの秋を 照らしている
私ひとりの秋 抱きしめて眠る
明日にはきっと 少し軽くなる
わが身ひとつの……
秋にはあらねど