▶小倉山の峰の紅葉よ、もしお前に心があるなら、天皇の行幸までどうか散らずに待っていておくれ。
決まり字:をぐ貞信公=藤原忠平(880-949)は関白太政大臣まで昇った藤原氏全盛期の礎の人。この歌には実話の背景がある。宇多上皇が大井川(京都・嵐山)に行幸した際、小倉山の紅葉があまりに見事で「息子の醍醐天皇にもこの景色を見せたい」と漏らした。供をしていた忠平がその想いをこの歌にして天皇に伝え、**実際に天皇の行幸が実現した**。拾遺集・雑秋・1128。
「小倉山の峰の紅葉よ、もしお前に心があるなら、もう一度の行幸(天皇のお出まし)まで散らずに待っていてくれ」。紅葉への擬人化の呼びかけ=**自然への優しいお願い**。根っこにあるのは「この美しさを、大事な人にも見せたい」という想い。美しいものを見た時、人はひとりで完結できない——誰かの顔が浮かぶ。その普遍の心を、紅葉への頼みごとに変えた品のある一首。
息をのむ紅葉に出会った人の歌。スマホで撮っても、この色は写らない。写真じゃ足りない、連れてくるから——「散らないで、待ってて」。きれいなものを見ると、会いたい人ができる。独り占めの絶景は、少しだけ寂しい。Bridgeで千年前へ:上皇が「息子にも見せたい」とつぶやき、大臣がそれを歌にして、天皇が本当にやって来た——**歌が人を動かした実話**。Finalは連れてきた「あの人」と並んで見上げる紅葉。「待っててくれて ありがとう」。紅葉に心はあったのか——千年経っても毎年色づくのが、返事なのかもしれん。
小倉山(拾遺集/貞信公・百人一首26番)Garu JP
息をのむって こういうことか
山がまるごと 頬を染めてる
スマホをかざして すぐにやめた
この色は 写らない
きれいなものを 見てしまうと
会いたい人が できてしまう
小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば
今ひとたびの みゆき待たなむ
散らないで あと少しだけ
あの人を 連れてくるから
写真じゃ足りない 言葉も足りない
じかに見せたい 景色があるんだ
独り占めした 絶景はなぜか
少しだけ 寂しい味がする
きれいなものは 分けたくなるんだ
半分こして 倍になるから
紅葉に心が あるのなら
ひとつだけ 願いを聞いて
小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば
今ひとたびの みゆき待たなむ
千年前も 同じだった
「息子に見せたい」と 父がつぶやいて
大臣がそれを 歌にしたら
本当に願いが 叶ったんだ
紅葉に心は あるのだろうか
わからないけど 千年たっても
毎年ちゃんと 色づくのが
返事のような 気がするんだ
小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば
今ひとたびの みゆき待たなむ
小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば
今ひとたびの みゆき待たなむ
待っててくれて ありがとう
隣であの人が 息をのんでる
写真じゃ足りない 言葉も足りない
この景色を 分けあえたんだ
今ひとたびの……
みゆき待たなむ