人の心はさあ、どう変わったか分からない。けれど昔なじみのこの里では、梅の花が昔と同じ香りで咲き匂っている。
決まり字:ひとは平安時代前期、10世紀初頭。紀貫之は『古今和歌集』の撰者・仮名序の作者、日本文学史の巨人。長年泊まっていた宿の主に「久しぶりに来たね、心変わりしたのでは」と皮肉られ、その場で咲いていた梅を折って返した歌
皮肉に対する軽妙な切り返しの内側に、深い抒情——「人の心は変わっても、花は変わらない」。人の変化への諦めと、変わらぬものへの愛着
帰ってきた場所で「変わってしまった人」を感じる。梅の香だけが、あの日と同じで待っていた。現代の誰にでも刺さる普遍テーマ(旧友、故郷、来なくなった恋人)