▶難波江の芦の刈り根の一節のように、たった一夜の仮寝のために、私は澪標のように身を尽くして、一生あなたを恋い続けるのでしょうか。
決まり字:なにはえ難波江の(千載集/皇嘉門院別当・百人一首88番)Garu JP
最終の船を 見送って
知らない港に 灯がともる
一晩だけの 宿の窓
波の音だけ 聞こえてくる
宿の食堂で 相席したひと
旅の話で 夜がふけた
難波江の 蘆のかりねの
ひとよゆゑ 眠れずにいる
たった一夜の 語らいなのに
波の音より 声が残る
これが恋なら どうしよう
月曜の朝の 改札口
いつもの日々に 戻ったのに
似た後ろ姿 探してしまう
潮の香りを まだ連れている
連絡先も 聞かないままで
名前ひとつが 胸に灯る
難波江の 蘆のかりねの
ひとよゆゑ みをつくしてや
身を尽くすほど 焦がれるなんて
ばかみたいねと 笑ってみても
目を閉じれば あの港にいる
千年前の 港の宿で
同じ痛みを 歌ったひとがいた
「恋ひわたるべき?」 問いかけた声は
まだ答えを 待っている
難波江の 蘆のかりねの ひとよゆゑ
みをつくしてや 恋ひわたるべき
難波江の 蘆のかりねの
ひとよゆゑ 恋ひわたるべき
答えはきっと 出ないままでいい
この痛みは 澪標
また旅に出る 目印になる
みをつくしてや……
恋ひわたるべき