▶天を吹く風よ、雲の中の通り道を吹き閉ざしておくれ。天女たちの美しい姿を、もうしばらく地上にとどめておきたいのだ。
決まり字:あまつ平安前期・仁明朝。宮中の新嘗祭で舞う五節の舞姫は天女に見立てられた。作者は桓武天皇の孫・良岑宗貞(出家前の遍昭)。帝に寵愛された美貌の貴公子で、のちに六歌仙の一人となる。
舞を終えて退場する舞姫を「天に帰る天女」に見立て、「風よ、雲の帰り道を閉ざしてくれ。もう少しだけこの姿を見ていたい」と願った。華やかな一瞬への憧憬と、終わってほしくない時間への切実な祈り。
天女の舞に「しばしとどめむ」と願った貴公子の心を、ライブのアンコール——「この一瞬よ、終わるな」と願う現代の夜に重ねました。ラスサビの答えは「しばし どころか 永遠に」。風が帰り道を閉ざしてくれたから、あの夜は心の中で終わらないままなのです。原歌が千年歌い継がれてきた事実そのものを、「一瞬が永遠になった」何よりの証として組み込みました。
天つ風(僧正遍昭・百人一首12番)/Garu JP
アンコールの光が 顔を照らす
最後の曲だと みんな気づいてる
夢みたいな時間に 出口が見えて
まばたきするのも もったいない
時計の針よ 少しだけ眠って
この曲が終われば 魔法が解ける
天つ風 お願い 道を閉じて
この空の 帰り道を隠して
輝くあの子を あと少しだけ
しばし しばし とどめて
天つ風 願いが届くのなら
まばたきの間さえ もったいない夜
夢の出口を 見つけないように
このまま このまま 醒めないで
はるか昔の 宮中の夜も
天女みたいに 舞う人がいた
若き貴公子が 空に願った
「風よ 雲の道を 閉ざしてくれ」と
いつの時代も 終わってほしくない
一瞬があるから 人は歌うんだ
天つ風 雲の通ひ路 吹き閉ぢよ
天まで届け 千年越しの願い
きらめく舞台を あと少しだけ
しばし しばし とどめて
天つ風 あなたも見てたんでしょう
天女が空へ 帰ってしまう前に
若き貴公子の 精一杯の祈り
どうか どうか 叶えて
天つ風 雲の通ひ路 吹き閉ぢよ
をとめの姿 しばしとどめむ
天つ風 道を閉じてくれたね
アンコールは 終わらない夢のまま
心の舞台で 今も踊ってる
しばし しばし どころか
天つ風 千年先の空でも
誰かが同じ 願いを叫ぶよ
きらめく一瞬は 消えないから
しばし どころか 永遠に
ずっと ずっと とどまれ
しばし とどめむ…… ずっと 忘れない……