▶あなたと別れて因幡の国へ行くけれど、稲羽山の峰に生える松のように「待つ」と聞いたなら、すぐにでも帰ってきましょう。
決まり字:たちたち別れ(古今集/中納言行平・百人一首16番)Garu JP
段ボールに 詰めきれなかった
この街の 匂いと音
「元気でね」の 代わりに君は
「待ってる」と 言ってくれた
それだけで 荷物が軽い
それだけで 行ける気がする
たち別れ いなばの山の
峰に生ふる まつとし聞かば
今帰り来む 今帰り来む
待ってると 聞いたから
どんな遠くからでも 帰ってくるよ
約束は 重くない 羽のように
知らない駅の 知らない朝に
少しだけ 迷子になる
それでも胸の 奥のほうで
「待ってる」が 灯っている
離れたことで わかることがある
近さじゃなくて 向きなんだと
たち別れ いなばの山の
峰に生ふる まつとし聞かば
今帰り来む 今帰り来む
松は待つと 千年前も
同じ響きで 誰かが笑って
約束を 歌にした
因幡へ向かう 宴の夜に
別れを明るく 言い換えた人
その人もちゃんと 帰ってきた
だから僕も 大丈夫
たち別れ いなばの山の 峰に生ふる
まつとし聞かば 今帰り来む
たち別れ いなばの山の
峰に生ふる まつとし聞かば
今帰り来む 今帰り来む
待っててよ 待ってるよ
どっちでもいい どっちも同じ
松の下で また会おう
まつとし聞かば……
今帰り来む