平安時代前期の女流歌人。六歌仙・三十六歌仙の一人。出自は不明で、仁明・文徳朝ごろに宮仕えしたとみられる。『古今集』に18首が入り、恋の歌に優れ、夢や物思いを情熱的かつ技巧的に詠む。仮名序では「あはれなるやうにて強からず」と評された。絶世の美女という伝説が生まれ、僧正遍昭との贈答歌や深草少将の百夜通いなど多くの説話・謡曲の題材となった。百人一首の「花の色は」は『古今集』春の歌。
花の色は うつりにけりな いたづらに
わが身世にふる ながめせしまに
桜の花の色は、むなしく色あせてしまった。長雨が降り続く間に——私の美しさも、物思いにふけている間に。
決まり字:はなの岩の上に 旅寝をすれば いと寒し
苔の衣を 我に貸さなむ(小町)
世をそむく 苔の衣は ただ一重
かさねばうとし いざ二人寝む(遍昭)