平安時代前期の歌人・清原深養父は琴の名手としても知られ、『古今集』の代表的歌人のひとり。曾孫に清少納言がいる文芸一家の祖。
夏の夜の短さへの嘆きを、深刻がらずに月への軽口に変える。楽しい夜が一瞬で終わる感覚は千年変わらない。
月はどの雲に宿を取ったのか、という原歌の軽口を、楽しすぎて一瞬で明けた現代の夜にそのまま持ってきました。この歌詞の発明は犯人探しです——「この夜が短い犯人は たぶん たのしすぎた僕らだ」。一番伝えたかったのはブリッジの対句、「明けない夜はないらしい/明けてほしくない夜はある」。つらい夜を励ます言葉は多いのに、楽しい夜を惜しむ言葉は意外とない——その空白を埋める歌です。
夏の夜は(古今和歌集・百人一首36番)Garu JP
夏の夜は まだ宵ながら
明けぬるを もう朝なの?
「まだ八時」って 笑ってたのに
気づけば日付 またいでた
くだらない話 止まらなくて
時計ばかりが 先を急ぐ
帰りたくない 終わりたくない
話したいことが まだ半分なのに
夏の夜は 短すぎる
まだ宵ながら 明けてゆく
楽しい夜ほど 早送りで
神様 巻き戻して
月はどの雲に 泊まったの?
おやすみも 言えてないのに
帰り道の空 うすむらさき
コンビニの灯り 朝に溶けてく
「もう朝だ」って きみが笑う
その顔が見れて 得した気分
ねえ この夜が短い犯人は
たぶん たのしすぎた僕らだ
夏の夜は 短すぎる
まだ宵ながら 明けてゆく
月も慌てて 帰りそびれて
雲の裏で 寝てるんだろう
探しにいこう 月の宿
今夜もきっと 眠れない
永遠なんて いらないから
あと五分だけ 夜をください
明けない夜は ないらしい
明けてほしくない夜は ある
夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを
雲のいづこに 月やどるらむ
夏の夜は 短すぎる
だから こんなに眩しいんだ
終わらないでと 願うほどに
夜は光って 消えてゆく
月はどの雲に 泊まったの?
また今夜 続きをやろう
夏の夜は……
また今夜 ここで