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百人一首 第23番・大江千里月見れば

大江千里出典:『古今集』秋上・193
月見れば 千々に物こそ 悲しけれ
わが身ひとつの 秋にはあらねど
百人一首『古今集』寂しさ月夜の縁
月見れば ジャケット

現代語訳

月を見ていると、あれこれと際限なく物事が悲しく思われる。秋は私ひとりのためにやって来たわけではないのだけれど。

決まり字:つき

ミュージックビデオ

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歌のものがたり

Story

時代背景

大江千里は平安前期の学者・歌人。在原業平・行平の甥だが、歌人というより儒学者・漢詩文の専門家。894年、宇多天皇の勅命で『句題和歌』を撰進——白居易などの漢詩の一句を「題」にして和歌に詠み直すという前代未聞の試みをした人。この歌の本歌は白居易「燕子楼」の一句「秋来たること只だ一人の為にのみ長し」。唐の詩を大和言葉に翻訳・昇華して千年残る和歌にした——Garu JPが「千年前の詩を現代の歌に作り直す」のと同じことを、千年前にやっていた大先輩。この曲は千里への返歌でもある。

詠み人の想い

核は「理性と感情の乖離」。秋はみんなに等しく訪れる、悲しいのは自分だけではない——そんなことは頭ではわかっている。学者の千里は誰よりもわかっている。それでも月を見上げると悲しみは「千々に」溢れ、世界中の秋が自分ひとりに降りかかるように感じる。「わかってる、でも感情はそうならない」という人間くさい自意識を三十一文字で言い切った歌。

歌詞にこめたもの

「秋は自分ひとりのものじゃない、わかっている——それでも」という理性と感情の乖離を、そのまま曲の構造にしました。サビは「わかってる この月はみんなの月」と理性で始まり、「それでも今夜は 私ひとりの秋」と感情で閉じます。何も悪いことがないのに泣きたい夜、悲しみを独り占めしたくなる自分を否定せず、抱きしめて眠る——それは恥ではなく人間の証だ、と歌っています。

歌詞

Lyrics

月見れば(古今集/大江千里・百人一首23番)Garu JP

Verse 1

ベランダの手すりに もたれて見てた

今夜の月は やけに近い

悪いことなんて 何もなかった

それなのに 胸が重い

Pre-Chorus

ひとつじゃない 悲しみの理由

数えるほどに 月が滲む

Chorus

月見れば ちぢにものこそ

悲しけれ 今夜もまた

わかってる この月はみんなの月

秋は誰の上にも 降るものだと

それでも今夜は 私ひとりの秋

Verse 2

スマホの中では みんな笑ってる

同じ夜を 生きてるのに

カーテン閉じても 月の明かりは

隙間から 忍び込んでくる

Pre-Chorus 2

悲しみに理由が いるのなら

月のせいに してもいいかな

Chorus 2

月見れば ちぢにものこそ

悲しけれ わが身ひとつ

知ってるよ 世界は回ってる

私が泣いても 朝は来ると

だけど今夜は 私ひとりの秋

Bridge

千年前 異国の詩を

訳した人も 月を見てた

「秋はひとりのために 長くなる」

その一行に 自分を見てた

Drop

月見れば ちぢにものこそ悲しけれ

わが身ひとつの 秋にはあらねど

Final Chorus

月見れば ちぢにものこそ

悲しけれ それでいい

みんなの空に 同じ月が出て

それぞれの秋を 照らしている

私ひとりの秋 抱きしめて眠る

明日にはきっと 少し軽くなる

Outro

わが身ひとつの……

秋にはあらねど

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