山鳥の垂れ下がった尾のように長い長いこの秋の夜を、私はひとりで寂しく寝るのだろうか。
決まり字:あし柿本人麻呂は飛鳥時代、持統・文武朝に仕えた宮廷歌人。『万葉集』最大の歌人で、後世「歌聖」と崇められた。この歌は人麻呂作と伝承される歌(『拾遺集』所収)で、百人一首では3番に置かれた。
会えない夜の長さを、山鳥の垂れた尾の長さに重ねる。夜は谷を隔てて眠る山鳥の伝承が、「ひとりかも寝む」の嘆きに孤独の輪郭を与えている。
現代の「ひとり寝の夜」をスマホの光る深夜3時に置いた。消したはずの画面をまた自分で開けてしまう——千年前の歌人が数えた「届かない距離」と同じ夜。山鳥が朝つがいに戻る伝承をポジ転換の軸にし、「夜が長いほど想いは育つ」「会えた朝はやさしくなる」と、孤独の歌を"朝で終わる孤独"として締めた。フックは原典下の句そのもの「ながながし夜を ひとりかも寝む」。
あしびきの(拾遺和歌集・百人一首3番)Garu JP
ながながし夜を ひとりかも寝む
ながながし夜を ひとりかも寝む
消したはずの スマホがひかる
ちがう 自分で また開けたんだ
君の名前を 眺めるだけで
指は止まったまま 動けない
「会いたい」って打って 消して
時計はまだ 夜の途中
あしびきの 山鳥の尾の
しだり尾より ながいながい夜
君がいない それだけのことで
世界はこんなに 静かになる
ながながし夜を ひとりかも寝む
千年前の 歌人も同じ
届かない距離を 数えてた
山鳥は 谷をへだてて
朝が来るまで 離ればなれ
つがいの鳥さえ 夜はひとり
だったらこの孤独も 普通のこと
あしびきの 山鳥の尾の
しだり尾より ながいながい夜
星を数えても 減らない時間
君の夢まで あと何時間?
ながながし夜を ひとりかも寝む
ひとりの夜が 教えてくれる
どれだけ君に 会いたいかを
長い夜ほど 想いは育つ
山鳥は朝 つがいに戻る
あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の
ながながし夜を ひとりかも寝む
あしびきの 山鳥の尾の
しだり尾より ながいながい夜
でも夜が長い そのぶんだけ
会えた朝は やさしくなる
ながながし夜を ひとりかも寝む
ひとりじゃないと 知る朝が来る
ながながし夜を……
おやすみ もうすぐ朝だ