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百人一首の秋の歌 16首秋の歌

四季の歌の中で、百人一首にもっとも多く選ばれているのが秋の歌です。部立てで「秋」に分類されるのは十六首。露に濡れる袖、竜田川を染める紅葉、宿を出て眺めた秋の夕暮れ、吉野の里に響く砧の音——平安の歌人が愛した「もののあはれ」の季節が、この十六首に凝縮されています。景物ごとに分けて、それぞれの歌の意味と背景、そして楽曲を紹介します。

ひと目でわかる 全16首

All 16 poems

曲になった歌は、歌の行から作品ページ(意味・現代語訳・時代背景・歌詞・ミュージックビデオ)へ進めます。

番号上の句・下の句歌人現代語訳決まり字
1秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ
わが衣手は 露にぬれつつ♪ 「秋の田の」を聴く
天智天皇秋の田のほとりの仮小屋で番をしていると、屋根の苫の編み目が粗いので、私の袖は夜露に濡れ続けている。あきの
5奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の
声聞く時ぞ 秋は悲しき♪ 「奥山に」を聴く
猿丸大夫人里離れた奥山で、散り敷いた紅葉を踏み分けて鳴く鹿の声を聞くときこそ、秋の悲しさが身にしみる。おく
17ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川
からくれなゐに 水くくるとは♪ 「ちはやぶる」を聴く
在原業平朝臣神代の昔でさえ聞いたことがない。竜田川が紅葉を散り流し、水を鮮やかな紅色にくくり染めにするとは。ちは
22吹くからに 秋の草木の しをるれば
むべ山風を 嵐といふらむ♪ 「吹くからに」を聴く
文屋康秀吹くとたちまち秋の草木がしおれてしまう。なるほど、山から吹き下ろす風を「嵐(荒らし)」と言うわけだ。
23月見れば 千々に物こそ 悲しけれ
わが身ひとつの 秋にはあらねど♪ 「月見れば」を聴く
大江千里月を見ていると、あれこれと際限なく物事が悲しく思われる。秋は私ひとりのためにやって来たわけではないのだけれど。つき
29心あてに 折らばや折らむ 初霜の
置きまどはせる 白菊の花 近日公開
凡河内躬恒当て推量で折るなら折ってみようか。初霜が降りて見分けがつかなくなった、白菊の花を。こころあ
32山川に 風のかけたる しがらみは
流れもあへぬ 紅葉なりけり 近日公開
春道列樹山あいの川に風が架けた流れ止めの柵——それは流れきれずに集まった紅葉だったのだ。やまが
37白露に 風の吹きしく 秋の野は
つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける♪ 「白露に」を聴く
文屋朝康白露に風がしきりに吹きつける秋の野は、まるで緒で貫き留めていない玉が散り乱れているようだ。しら
47八重葎 しげれる宿の さびしきに
人こそ見えね 秋は来にけり♪ 「八重葎」を聴く
恵慶法師幾重にも雑草が生い茂った寂しい宿に、人は誰も訪れないが、秋だけはやって来たのだなあ。やへ
69嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は
竜田の川の 錦なりけり 近日公開
能因法師嵐が吹き散らした三室山の紅葉が、竜田川の水面を錦のように染め上げている。あらし
70さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば
いづこも同じ 秋の夕暮れ♪ 「さびしさに」を聴く
良暹法師寂しさに耐えかねて庵を出て眺めてみれば、どこも同じ寂しさに包まれた、秋の夕暮れだった。
71夕されば 門田の稲葉 おとづれて
蘆のまろやに 秋風ぞ吹く♪ 「夕されば」を聴く
大納言経信夕方になると、門前の田の稲葉をそよがせて、芦ぶきの粗末な小屋に秋風が訪れて吹いてくる。ゆふ
79秋風に たなびく雲の 絶え間より
もれ出づる月の 影のさやけさ♪ 「秋風に」を聴く
左京大夫顕輔秋風に吹かれてたなびく雲の切れ間から、漏れ出てくる月の光の、なんと澄み渡って明るいことか。あきか
87村雨の 露もまだひぬ 槇の葉に
霧立ちのぼる 秋の夕暮れ 近日公開
寂蓮法師村雨の露もまだ乾かない槙の葉に、霧が立ちのぼる、秋の夕暮れ。
91きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに
衣かたしき ひとりかも寝む 近日公開
後京極摂政前太政大臣こおろぎが鳴く霜の降りた寒い夜、むしろの上に衣の片袖を敷いて、私はひとり寂しく寝るのだろうか。きり
94み吉野の 山の秋風 さ夜更けて
ふるさと寒く 衣打つなり 近日公開
参議雅経み吉野の山に秋風が吹き、夜も更けて、かつての都は寒々と、衣を打つ砧の音が聞こえてくる。みよ

月・露・霜

5 首
第29番心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置きまどはせる 白菊の花凡河内躬恒近日公開

紅葉

4 首
第32番山川に 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ 紅葉なりけり春道列樹近日公開
第69番嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり能因法師近日公開

秋風と秋の夕暮れ

7 首
第87番村雨の 露もまだひぬ 槇の葉に 霧立ちのぼる 秋の夕暮れ寂蓮法師近日公開
第91番きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む後京極摂政前太政大臣近日公開
第94番み吉野の 山の秋風 さ夜更けて ふるさと寒く 衣打つなり参議雅経近日公開

曲になった歌

Songs · 10
百人一首 第1番
秋の田の
天智天皇
秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ
百人一首『後撰集』寂しさ秋の田の仮庵
百人一首 第5番
奥山に
猿丸大夫
奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の
百人一首『古今集』寂しさ奥山(紅葉の山中)
百人一首 第17番
ちはやぶる
在原業平朝臣
ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川
百人一首『古今集』讃美竜田川(奈良県生駒郡斑鳩町)
百人一首 第22番
吹くからに
文屋康秀
吹くからに 秋の草木の しをるれば
百人一首『古今集』ユーモア秋の山里
百人一首 第23番
月見れば
大江千里
月見れば 千々に物こそ 悲しけれ
百人一首『古今集』寂しさ月夜の縁
百人一首 第37番
白露に
文屋朝康
白露に 風の吹きしく 秋の野は
百人一首『後撰集』讃美白露の秋の野
百人一首 第47番
八重葎
恵慶法師
八重葎 しげれる宿の さびしきに
百人一首『拾遺集』寂しさ荒れた宿(河原院)
百人一首 第70番
さびしさに
良暹法師
さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば
百人一首『後拾遺集』寂しさ山里の庵(大原)
百人一首 第71番
夕されば
大納言経信
夕されば 門田の稲葉 おとづれて
百人一首『金葉集』寂しさ田園の田舎家(梅津の山荘)
百人一首 第79番
秋風に
左京大夫顕輔
秋風に たなびく雲の 絶え間より
百人一首『新古今集』讃美秋の夜空

よくある質問

FAQ

百人一首に秋の歌は何首ありますか?

部立てで「秋」に分類される歌は16首で、春(6首)・夏(4首)・冬(6首)を大きく引き離して四季の中で最多です。恋や雑の歌でも秋の情景を詠むもの(第3番「あしびきの」、第21番「今来むと」など)を含めると、秋を舞台にした歌は22首になります。

百人一首の紅葉の歌はどれですか?

秋の歌では第5番「奥山に」(猿丸大夫)、第17番「ちはやぶる」(在原業平)、第32番「山川に」(春道列樹)、第69番「嵐吹く」(能因法師)の4首です。このうち第17番と第69番はどちらも紅葉の名所・竜田川を詠んでいます。このほか旅の歌(羈旅)に分類される第24番「このたびは」(菅家)も、手向山の紅葉を錦に見立てた紅葉の名歌です。

「秋の夕暮れ」を詠んだ歌はどれですか?

第70番「さびしさに」(良暹法師)と第87番「村雨の」(寂蓮法師)の2首が、下の句を「秋の夕暮れ」で結んでいます。どちらも情景だけを描いて感情を語らない、余情を重んじる歌風の代表です。

なぜ百人一首には秋の歌が多いのですか?

勅撰和歌集では春と秋にそれぞれ上下2巻をあてるのが通例で、そもそも秋の歌の蓄積が多いことに加え、選者の藤原定家が、寂しさや余情を映す秋の歌を好んだためと考えられています。