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百人一首 第48番・源重之風をいたみ

源重之出典:『詞花集』恋上・211
風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ
くだけて物を 思ふころかな
百人一首『詞花集』片思い嘆き風の強い海辺(岩打つ波)
風をいたみ ジャケット

現代語訳

風が激しくて岩に打ち当たる波が、自分だけ砕け散るように、あなたは平気なのに私だけが心も砕けるほどに物思いをしている。

決まり字:かぜを

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歌のものがたり

Story

時代背景

源重之(?-1000?)は清和天皇の曽孫。父の代に臣籍降下し、皇太子時代の冷泉天皇に帯刀先生(たちはきのせんじょう)として仕え、相模権介などを歴任したのち、陸奥守・藤原実方に従って陸奥へ下り、任地で没した。三十六歌仙の一人で、勅撰集に約65首。皇太子時代の冷泉天皇に献じた百首歌は、現存する最古の「百首歌」とされる。この歌は『詞花和歌集』恋上・211。「風をいたみ」は「風が激しいので」の意で、上の句「風をいたみ 岩うつ波の」がまるごと「おのれのみ くだけて」を導く序詞。激しい風に打ち寄せる波は岩にぶつかって砕ける——砕けるのは波だけで、岩はびくともしない。岩は心を動かさない相手、波は自分。のちに殷富門院大輔が90番「見せばやな」で本歌に取ったのも、この重之の歌(松島の海人の袖)だった。

詠み人の想い

岩は砕けない。砕けるのは波だけ。相手は少しも動かず、自分ばかりが砕け散る——片思いのいちばん理不尽なところ、「傷つくのはいつも一方だけ」を、岩と波の非対称に重ねた。「おのれのみ」の一語には相手への恨みはなく、身の置きどころのなさだけがある。そして波は砕けても、また戻ってきて岩を打つ。「思ふころかな」——この頃ずっと、と言うのは、その懲りなさの告白でもある。

歌詞にこめたもの

かおるとクロコがこの歌でいちばん惹かれたのは、「砕けるのは波だけ」という非対称と、それでも波は戻ってきてまた打つ、という懲りなさだった。原典は恋の歌だが、歌そのものに恋の言葉はひとつも無い——風、岩、波、砕ける、物思い。だからこの曲も、恋に限らず「動かない相手にひとりで砕ける人」の歌にした。現代の夜にも同じ岸がある。返事の来ない誰かを思いながら、防波堤の先で岩に砕ける波を見ている男。送った言葉は返ってこない、向こうは今夜も同じ顔。歌詞では原歌の急所「おのれのみ」をそのまま連呼してサビのフックにし、感情語を「懲りない」ひとつに絞った。悲しいとは言わない。かわりに、ポケットの中で握りしめた言えなかった言葉、塩の味のする頬、形を変えるのは波のほうだけ、という景で片思いを語る。Bridgeの「岩が砕けないから/波は波で いられるのか」は、この曲の小さな発見——相手が動かないからこそ、自分は打ち続けていられる。いにしえの歌人と同じ岸で、朝が来るまで打っている。それがこの曲に込めた想い。

歌詞

Lyrics

風をいたみ(詞花集/源重之・百人一首48番)Garu JP

Verse 1

防波堤の先で 風が鳴る

飛沫が顔に 届くまで

送った言葉は 返ってこない

向こうは今夜も 同じ顔

Pre-Chorus

何度ぶつかっても 同じ形

砕けるのは いつもこっち

Chorus

風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ

くだけて物を 思ふころかな

おのれのみ おのれのみ

砕けて また戻る

おのれのみ おのれのみ

波は懲りない 僕も懲りない

Verse 2

ポケットの中で 握りしめた

言えなかった 言葉のかたち

海は暗くて 岩は黙って

白い泡だけ 光ってる

Pre-Chorus 2

何度砕けても 同じ場所

戻ってくるのは いつもこっち

Chorus 2

風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ

くだけて物を 思ふころかな

おのれのみ おのれのみ

塩の味の 頬をぬぐって

おのれのみ おのれのみ

形を変えるのは こっちだけ

Bridge

いにしえの人も 同じ岸で

砕ける波に 自分を見た

岩が砕けないから

波は波で いられるのか

Final Chorus

風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ

くだけて物を 思ふころかな

おのれのみ おのれのみ

砕けて また戻る

おのれのみ おのれのみ

朝が来るまで 打っている

Outro

おのれのみ…… おのれのみ……

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