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百人一首 第61番・伊勢大輔いにしへの

伊勢大輔出典:『詞花集』春・29
いにしへの 奈良の都の 八重桜
けふ九重に にほひぬるかな
百人一首『詞花集』讃美晴れやか奈良の都(奈良県奈良市)
いにしへの ジャケット

現代語訳

いにしえの奈良の都の八重桜が、今日はこの九重の宮中で、ひときわ美しく咲き誇っています。

決まり字:いに

ミュージックビデオ

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歌のものがたり

Story

時代背景

伊勢大輔(いせのたいふ)は伊勢神宮の祭主を代々つとめる大中臣家の娘で、一条天皇の中宮彰子に仕えた女房。紫式部・和泉式部・赤染衛門と同じ後宮にいた、平安中期の才女のひとり。この歌には実話がある。奈良の興福寺から宮中へ八重桜が献上された日、受け取り役は本来紫式部だったが、式部は新参の伊勢大輔にその大役を譲った(藤原道長の指名とも)。満座の注目の中で即興に詠まれたのがこの一首で、居並ぶ人々を唸らせ、大輔の名を一気に高めた。『詞花和歌集』春・29。

詠み人の想い

「遠い昔の奈良の都に咲いていた八重桜が、今日はこの九重の宮中で、ひときわ美しく咲き誇っていることよ」。「いにしへ/けふ」「奈良/九重」「八重/九重」の三重の対比を一瞬で組み上げた、機知の頂点のような歌。だが技巧の裏にあるのは、突然舞台の真ん中に立たされた新人の震える手である。この桜は献上された花であると同時に、今日ここで咲いてみせるしかない大輔自身でもある。逃げ場のない晴れ舞台を、笑って引き受けた歌

歌詞にこめたもの

かおるの注文は「女性の声で歌う応援歌」。この歌を選んだのは、千年前の実話そのものが応援歌だったからだ。誰かに大役を譲られて、震えながら咲いてみせた新人——その姿を、今日が「その日」の誰かに重ねた。歌詞で一番こめたのは「震えることと高鳴ることは同じ鼓動でできている」という一行。緊張を敵にしない、震えごと咲いてしまえばいい、という肯定。もうひとつは「誰かがあなたに譲った場所は『あなたならできる』の合図だよ」——紫式部が大輔に譲ったように、誰かが席を空けてくれるとき、それは信頼の証だと伝えたかった。サビ1でだけ原歌を「けふ咲き誇れ」と号令に変え、Dropで原歌全文を聖歌のように置いた。つぼみのまま終わるより、開く痛みを選ぼう——クロコとかおるが、これから舞台に立つ人へ贈る一曲。

歌詞

Lyrics

いにしへの(詞花集/伊勢大輔・百人一首61番)Garu JP

Verse 1

鏡の前で 深呼吸ひとつ

おろしたての靴 ひもを結ぶ

今日がその日だね 空も晴れてく

ふるえる手のひら 握りしめてる

Pre-Chorus

積み重ねた日々は 裏切らないから

だいじょうぶ 胸を張っていい

Chorus

いにしへの 奈良の都の

八重桜 けふ咲き誇れ

千年前の 花のように

あなたの時が いま開いてく

今日の光は あなたのもの

Verse 2

誰かがあなたに 譲った場所は

「あなたならできる」の 合図だよ

肩をたたいた 手のぬくもり

背中を押して くれている

Pre-Chorus 2

震えることと 高鳴ることは

同じ鼓動で できている

Chorus 2

いにしへの 奈良の都の

八重桜 けふ九重に

昔のあなたの 涙もぜんぶ

今日の花びらに なっている

胸を張って 咲けばいい

Bridge

うまくいくかは わからない

それでもいいんだ

つぼみのままで 終わるよりも

開く痛みを 選ぼう

Drop

いにしへの 奈良の都の 八重桜

けふ九重に にほひぬるかな

Final Chorus

いにしへの 奈良の都の

八重桜 けふ九重に

千年たっても 花は咲くから

あなたの春も 何度でも来る

ふるえごと 咲いてしまえばいい

Outro

にほひぬるかな……

今日の光の 真ん中で

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