平安時代末期。作者・待賢門院堀河は鳥羽天皇の中宮・待賢門院璋子に仕えた女房歌人で、女房三十六歌仙の一人。西行や崇徳院と同時代を生きた。
愛された直後にこそ押し寄せる不安。幸せの真ん中で泣きたくなる気持ちを31文字に閉じ込めた。
逢瀬の翌朝の「乱れて今朝はものをこそ思へ」を、幸せの真ん中にいるのに泣きたくなる矛盾として読みました。「信じることと疑うことはおなじ痛みでできている」——原典の不安を否定せず、「それでもあなたを選ぶ」と不安ごと愛と呼ぶのがこの曲の答えです。ブリッジでは髪を「梳かす」と不安を「解かす」を重ね、静かな朝と乱れる心の二重構造を、ボサノバ×高速ビートのサウンドにも映しました。
長からむ(千載和歌集・百人一首80番)Garu JP
カーテンの隙間 朝がこぼれて
乱れた髪に 指をとおす
となりで眠る あなたの寝息
起こさないように 見つめてる
幸せの真ん中に いるはずなのに
どうして 泣きたくなるんだろう
長からむ 心も知らず
あなたの「ずっと」は いつまでだろう
黒髪が 乱れるように
心が 朝に ほどけてゆく
このまま 時が止まればいい
ゆうべの言葉を ひとつずつ
たしかめるように 思い出す
「愛してる」って 言ったくちびるは
夢のなかでは 誰のもの
信じることと 疑うことは
おなじ痛みで できている
長からむ 心も知らず
朝日が髪を 撫でてゆく
疑う私を 抱きしめて
何も言わずに もう一度
このまま 時が止まればいい
永遠を 誓えないなら
今だけを ください
乱れた髪も 乱れた心も
あなたの指で とかして
長からむ 心も知らず 黒髪の
乱れて今朝は 物をこそ思へ
長からむ 心も知らず
それでも あなたを選ぶから
黒髪が 乱れるたびに
何度でも 恋に落ちるわ
不安ごと 愛と呼べばいい
乱れて 今朝は……
あなたの夢の つづきのなかで