素性法師(生没年不詳・9〜10世紀)は僧正遍昭の子で、父に続いて出家した僧侶歌人。三十六歌仙の一人。この歌は男性の素性が女性の立場に立って詠んだ「女歌」。「長月」は陰暦九月=夜が最も長い季節、「有明の月」は夜明けになっても空に残る月。「一晩中待った」説と「幾月も待ち続けた」説の両説が古来あるが、どちらでも「待たされた時間の長さ」が主題。古今集・恋四所収。
「すぐ行くよ」——そのひとことだけを頼りに、秋の夜長を待ち続けて、気づけば明け方の月が出てしまった。恨み言というより、諦めと自嘲の混じった軽い溜息。怒りを三十一文字の綺麗な形に整えるユーモアがこの歌の品格。
「今から行く」と言われて待つ夜を、月の高さで刻みました——月の出は夜ふけ、天頂は深夜、そして原歌の有明の月で明け方に着地する、月を夜の時計にする発明です。怒る理由を数えていたのに、月がきれいで怒るつもりを月にとられてしまう。だから結びは待ちぼうけの敗北ではなく勝利宣言——「明け方の月は、待った人にしか見えない」。恨み言を自慢に反転させた歌です。
今来むと(古今集/素性法師・百人一首21番)Garu JP
考えて!(考えて!)
考えて!(考えて!)
私を待たせた その意味を
考えて!
「今から行く」と 言ったよね(言ったよね!)
待ってるうちに 月が出た(月が出た!)
前髪直して 待ってるこっちの
気持ちも少しは 考えて!(考えて!)
今来むと 言ひしばかりに 長月の
有明の月を 待ち出でつるかな
すぐ行くと 言ったのは(言ったのは!)
そっちなのに(そっちなのに!)
秋の夜は 長いのよ
考えて!(考えて!)
待ちくたびれて(くたびれて!) 月はてっぺん(てっぺん!)
怒る理由を 三つ数えたけど
見とれるほどに 月がきれいで
怒るつもりを 月にとられた
今来むと 言ひしばかりに 長月の
有明の月を 待ち出でつるかな
あの月だって(月だって!)
知ってるの(知ってるの!)
「すぐ行く」は 当てにならない
考えて!(考えて!)
今来むと 言ひしばかりに
長月の
有明の月を
待ち出でつるかな
月が見てる!(月が見てる!)
月が見てる!(月が見てる!)
千年前から 同じ夜を
月が見てる!(見てる!)
今来むと 言ひしばかりに 長月の
有明の月を 待ち出でつるかな
待つのは負けじゃない(負けじゃない!)
好きの証拠(証拠!)
この月を見れた夜は 私のもの
考えて!(考えて!)
明け方の月は 見たことある?(あるの?)
待った人にしか 見えないの!(見えない!)
今度会ったら 自慢してやる
「あんたのおかげで きれいだった」
考えて!(考えて!) 考えて!(考えて!)
考えて!!(考えて!!)
有明の月を…… 待ち出でつるかな
(考えて!)