曲になった歌は、歌の行から作品ページ(意味・現代語訳・時代背景・歌詞・ミュージックビデオ)へ進めます。
| 番号 | 上の句・下の句 | 歌人 | 現代語訳 | 決まり字 |
|---|---|---|---|---|
| 3 | あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む♪ 「あしびきの」を聴く | 柿本人麻呂 | 山鳥の垂れ下がった尾のように長い長いこの秋の夜を、私はひとりで寂しく寝るのだろうか。 | あし |
| 13 | 筑波嶺の 峰より落つる みなの川 恋ぞつもりて 淵となりぬる♪ 「筑波嶺の」を聴く | 陽成院 | 筑波嶺の頂から流れ落ちるみなの川が、次第に深い淵となるように、私の恋心も積もりに積もって深い淵となってしまった。 | つく |
| 14 | 陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れそめにし われならなくに♪ 「陸奥の」を聴く | 河原左大臣 | 陸奥のしのぶもじ摺りの乱れ模様のように、私の心は乱れている。いったい誰のせいで——あなた以外の誰のせいでもないのに。 | みち |
| 18 | 住の江の 岸に寄る波 よるさへや 夢の通ひ路 人目よくらむ 近日公開 | 藤原敏行朝臣 | 住の江の岸に寄る波のように、あなたはなぜ夜の夢の中でさえ、人目を避けて会いに来てくれないのだろう。 | す |
| 19 | 難波潟 短き蘆の ふしの間も 逢はでこの世を 過ぐしてよとや 近日公開 | 伊勢 | 難波潟の芦の刈り根の節の間のような、ほんのわずかな時間さえ会えないまま、この世を過ごせとあなたは言うのだろうか。 | なにわが |
| 20 | わびぬれば 今はた同じ 難波なる 身をつくしても 逢はむとぞ思ふ 近日公開 | 元良親王 | つらい思いに沈む今となっては、もうどうなっても同じこと。難波の澪標ではないが、この身を滅ぼしてでもあなたに会いたい。 | わび |
| 21 | 今来むと いひしばかりに 長月の 有明の月を 待ち出でつるかな♪ 「今来むと」を聴く | 素性法師 | 「今すぐ行く」とあなたが言ったばかりに、九月の長い夜を待ち続けて、有明の月が出る頃まで待ってしまった。 | いまこ |
| 25 | 名にし負はば 逢坂山の さねかづら 人に知られで くるよしもがな 近日公開 | 三条右大臣 | 「逢坂山のさねかずら」——その名の通りなら、人に知られず、かずらを手繰るようにあなたのもとへ行く方法があればいいのに。 | なにし |
| 27 | みかの原 わきて流るる 泉川 いつ見きとてか 恋しかるらむ 近日公開 | 中納言兼輔 | みかの原を分けて湧き流れる泉川——その「いつ見き」ではないが、いつ逢ったといってこんなに恋しいのだろう。 | みかの |
| 30 | 有明の つれなく見えし 別れより 暁ばかり 憂きものはなし 近日公開 | 壬生忠岑 | 有明の月がそっけなく見えた、あの別れの時から、夜明け前ほどつらいものはない。 | ありあ |
| 38 | 忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな♪ 「忘らるる」を聴く | 右近 | あなたに忘れられる我が身のことは何とも思わない。ただ、神に誓ったあなたの命が… | わすら |
| 39 | 浅茅生の 小野の篠原 忍ぶれど あまりてなどか 人の恋しき 近日公開 | 参議等 | 浅茅の生えた小野の篠原——その「しの」ではないが、忍んでも忍びきれず、どうしてこんなにあなたが恋しいのだろう。 | あさぢ |
| 40 | 忍ぶれど 色に出でにけり わが恋は 物や思ふと 人の問ふまで♪ 「忍ぶれど」を聴く | 平兼盛 | 隠してきたけれど、顔色に出てしまっていたのだ、私の恋は。「物思いをしているのですか」と人に尋ねられるほどに。 | しの |
| 41 | 恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか♪ 「恋すてふ」を聴く | 壬生忠見 | 恋をしているという私の噂が、もう立ってしまった。誰にも知られないよう、ひそかに想い始めたばかりだったのに。 | こひ |
| 42 | 契りきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波越さじとは 近日公開 | 清原元輔 | 約束しましたね。互いに涙に濡れた袖を絞りながら、波が末の松山を越すことがないように、心変わりはしないと。 | ちぎりき |
| 43 | 逢ひ見ての のちの心に くらぶれば 昔は物を 思はざりけり♪ 「逢ひ見ての」を聴く | 権中納言敦忠 | 逢って結ばれた後のこの恋しさに比べれば、それ以前の想いなど、何も思っていなかったのと同じだ。 | あひ |
| 44 | 逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし 近日公開 | 中納言朝忠 | 逢うことが二度とないのなら、かえって、あの人のつれなさも我が身の不運も、恨むことはないだろうに。 | あふこ |
| 45 | あはれとも いふべき人は 思ほえで 身のいたづらに なりぬべきかな 近日公開 | 謙徳公 | 「かわいそうに」と言ってくれそうな人も思い浮かばないまま、私はきっとむなしく死んでいくのだろう。 | あはれ |
| 46 | 由良の門を 渡る舟人 かぢを絶え ゆくへも知らぬ 恋の道かな 近日公開 | 曽禰好忠 | 由良の海峡を渡る舟人が櫂をなくして漂うように、行方も分からない私の恋の道だ。 | ゆら |
| 48 | 風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ くだけて物を 思ふころかな 近日公開 | 源重之 | 風が激しくて岩に打ち当たる波が、自分だけ砕け散るように、あなたは平気なのに私だけが心も砕けるほどに物思いをしている。 | かぜを |
| 49 | 御垣守 衛士のたく火の 夜は燃え 昼は消えつつ 物をこそ思へ 近日公開 | 大中臣能宣朝臣 | 宮中の門を守る衛士の焚くかがり火のように、私の恋も夜は燃え上がり、昼は消え入りそうになりながら、思い続けている。 | みかき |
| 50 | 君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな 近日公開 | 藤原義孝 | あなたのためなら惜しくないと思っていた命さえ、逢瀬を遂げた今は、長くあってほしいと思うようになった。 | きみがためを |
| 51 | かくとだに えやはいぶきの さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを 近日公開 | 藤原実方朝臣 | 「これほど想っています」と言うことさえできないのだから、伊吹山のさしも草のように、あなたは知らないだろう… | かく |
| 52 | 明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほ恨めしき 朝ぼらけかな 近日公開 | 藤原道信朝臣 | 夜が明ければまた日は暮れ、あなたに会えると分かってはいても、それでもやはり恨めしい朝ぼらけだ。 | あけ |
| 53 | 嘆きつつ ひとり寝る夜の 明くる間は いかに久しき ものとかは知る 近日公開 | 右大将道綱母 | 嘆きながらひとりで寝る夜の明けるまでが、どれほど長いものか、あなたはご存じでしょうか。 | なげき |
| 54 | 忘れじの 行く末までは かたければ 今日を限りの 命ともがな 近日公開 | 儀同三司母 | 「忘れない」というあなたの言葉が遠い将来まで続くのは難しいでしょうから、その言葉を聞いた今日を限りに… | わすれ |
| 56 | あらざらむ この世のほかの 思ひ出に 今ひとたびの 逢ふこともがな♪ 「あらざらむ」を聴く | 和泉式部 | 私はもうすぐこの世を去るでしょう。あの世への思い出に、せめてもう一度だけ、あなたに逢いたい。 | あらざ |
| 58 | 有馬山 猪名の笹原 風吹けば いでそよ人を 忘れやはする 近日公開 | 大弐三位 | 有馬山に近い猪名の笹原に風が吹くと、笹の葉がそよそよと音を立てる——そうです、どうしてあなたを忘れたりするでしょうか。 | ありま |
| 59 | やすらはで 寝なましものを さ夜更けて かたぶくまでの 月を見しかな♪ 「やすらはで」を聴く | 赤染衛門 | ためらわずに寝てしまえばよかったのに。あなたを待つうちに、とうとう西に傾く月を見てしまいました。 | やす |
| 63 | 今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで いふよしもがな♪ 「今はただ」を聴く | 左京大夫道雅 | 今はもう「あなたへの想いを断ち切ります」ということだけでも、人づてではなく、直接あなたに伝える方法があればいいのに。 | いまは |
| 65 | 恨みわび ほさぬ袖だに あるものを 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ 近日公開 | 相模 | 恨む気力も涙も涸れ果てた袖さえ惜しいのに、恋のせいで浮名まで立って朽ちていく我が身が惜しまれてならない。 | うら |
| 72 | 音に聞く 高師の浜の あだ波は かけじや袖の ぬれもこそすれ 近日公開 | 祐子内親王家紀伊 | 噂に高い高師の浜のいたずらな波はかけますまい——浮気なあなたの言葉を信じたら、袖が涙で濡れるでしょうから。 | おと |
| 74 | 憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは 祈らぬものを 近日公開 | 源俊頼朝臣 | つれなかったあの人が振り向いてくれるよう初瀬の観音に祈りはしたが、初瀬の山おろしよ… | うか |
| 77 | 瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ♪ 「瀬をはやみ」を聴く | 崇徳院 | 川の瀬の流れが速く、岩にせき止められた急流が二つに割れても再び一つになるように、あなたと別れても… | せ |
| 80 | 長からむ 心も知らず 黒髪の 乱れて今朝は 物をこそ思へ♪ 「長からむ」を聴く | 待賢門院堀河 | あなたの心が末永く変わらないかどうか分かりません。黒髪が乱れるように心も乱れて、物思いに沈むこの朝です。 | ながか |
| 82 | 思ひわび さても命は あるものを 憂きに堪へぬは 涙なりけり 近日公開 | 道因法師 | つらさに思い悩んでもなお命だけはあるものを、悲しみに耐えきれず、涙が先にこぼれ落ちる。 | おも |
| 85 | 夜もすがら 物思ふころは 明けやらで 閨のひまさへ つれなかりけり 近日公開 | 俊恵法師 | 夜通し物思いに沈むこの頃は、なかなか明けない夜の、寝室の隙間さえもがつれなく思われる。 | よも |
| 86 | 嘆けとて 月やは物を 思はする かこち顔なる わが涙かな♪ 「嘆けとて」を聴く | 西行法師 | 「嘆け」と言って月が私に物思いをさせるのだろうか。いや違う。それなのに、月のせいだと言わんばかりにこぼれる私の涙よ。 | なげけ |
| 88 | 難波江の 蘆のかりねの ひとよゆゑ 身をつくしてや 恋ひわたるべき♪ 「難波江の」を聴く | 皇嘉門院別当 | 難波江の芦の刈り根の一節のように、たった一夜の仮寝のために、私は澪標のように身を尽くして… | なにはえ |
| 89 | 玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの 弱りもぞする♪ 「玉の緒よ」を聴く | 式子内親王 | わが命よ、絶えるなら絶えてしまえ。生きながらえていれば、恋を忍び隠す力が弱って、想いがあふれてしまうから。 | たま |
| 90 | 見せばやな 雄島の海人の 袖だにも 濡れにぞ濡れし 色は変はらず 近日公開 | 殷富門院大輔 | お見せしたいものです、雄島の漁師の袖でさえ、濡れに濡れても色は変わらないのに——血の涙で色の変わった私の袖を。 | みせ |
| 92 | わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の 人こそ知らね 乾く間もなし♪ 「わが袖は」を聴く | 二条院讃岐 | 私の袖は、引き潮の時にも海中に隠れて見えない沖の石のように、人は知らないでしょうが、涙に乾く間もないのです。 | わがそ |
| 97 | 来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くや藻塩の 身もこがれつつ♪ 「来ぬ人を」を聴く | 権中納言定家 | 来ない人を待つ私は、松帆の浦の夕凪に焼かれる藻塩のように、身も焦がれるほどに想い続けている。 | こぬ |
43首です。歌集の分類(部立て)で「恋」に入る歌が百首中43首あり、次に多い秋の歌(16首)の倍以上、百人一首全体のほぼ半分を占めます。
一首に絞るのは難しいですが、崇徳院の「瀬をはやみ」(第77番)、式子内親王の「玉の緒よ」(第89番)、藤原義孝の「君がため」(第50番)がよく挙げられます。また平兼盛「忍ぶれど」(第40番)と壬生忠見「恋すてふ」(第41番)は、天徳内裏歌合で直接対決した名勝負の歌として知られています。
平安貴族の通い婚を背景に、訪れを待つ女性の歌、夜明けに別れる後朝(きぬぎぬ)の歌、人目を忍ぶ恋の歌が多いのが特徴です。「まつ(松・待つ)」「みをつくし(澪標・身を尽くし)」のような掛詞や、水辺の縁語を使って、風景と恋心を重ねる技法が多く見られます。
片思い→待つ→逢う→恨む→別れる、という恋の流れで場面ごとにまとめて覚えると、意味と一緒に定着します。さらに決まり字を組み合わせ、メロディに乗せて口ずさむと、上の句と下の句のつながりが自然に身につきます。